入試問題に挑戦!
では、もう一問練習問題を
やってみましょう。
今回はそれほど難しくありません。
練習問題
(『更級日記』)
問 傍線と同じ用法の「なむ」を次のなかから一つ選べ。
ア いかに思ほし知るにか、参り給はむ事をのみなむおぼし急ぐめれば、
イ 亭子の帝、今はおりゐ給ひなむとするところ
ウ 今はいかにもいかにもかけて言はざらなむ。
エ わが宿の花橘の何時しかも珠に貫くべくその実なりなむ
オ 何ごと言ふぞ。おひらかに死にたまひね。まろも死なむ。
(愛知大学 2011年)
練習問題の詳しい解説
まず、問題文の「なむ」から分析します。
「なむ」の直前にある動詞「知ら」は、ラ行四段動詞で、活用形は未然形であることが分かります。「なむ」の直前の言葉が未然形であるということは、問題文の「なむ」は、願望の終助詞であることが分かります。
現代語訳:鳥部山の 谷で煙が 燃え立ったならば それははかなく見えた 私だと知ってほしい
次に、選択肢の分析をします。ア~オの中で、「なむ」の直前の言葉が未然形であるのは、「ウ 今はいかにもいかにもかけて言はざらなむ。」であり、これが問題文と同じ願望の終助詞です。
現代語訳:今はどんなことがあってもどんなことがあっても決して言わないでほしい。
残りの選択肢も確認しましょう。
現代語訳:どのようにお考えになっているのか。(宮中に)参りなさるようなことだけをお思い急がれるようであるので、
係り結びの流れについては以下のページで詳しく解説しておりますので、そちらをご参照下さい。
現代語訳:亭子の帝は今を限りとご譲位なさろうとするところ
現代語訳:我が宿の花橘はいつになったら薬玉(くすだま)として貫ける実がなるのだろうか。
イとエの「なむ」は、両方とも助動詞が二つ付いたものですが、末尾の「む」が文脈から、イは意志の助動詞、エは推量の助動詞と異なります。現代語訳をしてみて、どちらが適当なのかを判断しなければなりません。
現代語訳:何を言うのだ。いっそあっさりと死になさってください。私も死にましょう。
正解:ウ 今はいかにもいかにもかけて言はざらなむ。
いかがでしたでしょうか?
「なむ」の見分け方のポイントは、まず、「なむ」の直前の言葉の活用形が何形であるかを見ることから始まります。
選択肢ウのように直前の言葉が未然形だったら、「なむ」は願望の終助詞、選択肢イやエのように直前の言葉が連用形だったら、「なむ」は強意(確述)の助動詞+推量あるいは意志の助動詞、選択肢オのように直前の言葉がナ変動詞(死ぬ・往ぬ)だったら、「なむ」は、ナ変動詞の活用語尾+推量あるいは意志の助動詞、選択肢アのように直前の言葉が名詞だったら、「なむ」は係助詞と見分けることができます。
見分け方は難しくなく、入試問題としては得点源となるものとなりますので、きちんと暗記をして、本番に臨みましょう。