『戦国策』「蛇足」の書き下しと現代語訳と重要表現の解説1

お断り:この記事には、最初に倉橋先生とゆかいな仲間たちの戯れがあります。お急ぎの方は、上にある目次の見たい項目をクリックすると、その解説に飛びますので、そちらをご利用ください。なお、解説は真面目にしております。
この記事で解決できること
・ひらがなで書き下す所が分かります。
・重要表現が分かります。
・現代語訳が分かります。
・定期試験でよく聞かれる所が分かります。
 
 
 
先生。
また、お客様です。
 
 
 
えっ?また
今日、誰とも会う約束
していないんだけどなあ。
 
 
 
 
  
 
 
いや、ご主人~。
会いたかったですよ~。
私のこと、覚えています?
 
 
 
 
 
えっ…。
すいません。
どちら様でしたっけ?
 
 
 
 
先日、あなたに足を
描いていただいた蛇です。
今まで足無かったんで、
ありがとうございました。
 
 
 
 
失礼ですけど、
人違いされてませんか?
私、あなたに足を描いた
覚えありませんよ。
 
 
 
そうでしたっけ?
でも、足があるおかげで
こうして色々出掛けられる
ようになりました。
 
 
 
 
そうですかー。
蛇に足なんで「蛇足」の
故事みたいですね。 
 
 
 
「蛇足」?
それ何ですか?
教えて下さい。
 
 
 
 
 
よろしい。いいでしょう。
「蛇足」の故事
お話し致しましょう。
 
 
 

「蛇足」本文

 

「蛇足」書き下し文

※カギカッコの中のひらがなは現代仮名遣いの読み仮名です。色が付いている箇所は漢字をひらがなで書き下す箇所です。助詞と助動詞はひらがなで書き下します。

①楚(そ)に祠(まつ)る者有り。
②其(そ)の舎人(しゃじん)に卮酒(ししゅ)を賜(たま)ふ。
③舎人相(あい)謂(い)ひて曰(い)はく、「数人之(これ)を飲まば足ら、一人之を飲まば余り有らん。
④請(こ)ふ地に画(えが)きて蛇を為(つく)り、先(ま)づ成る者酒を飲まん。」と。
⑤一人蛇先づ成(な)り、酒を引き且(まさ)に之を飲まんとす。

 

語釈

語句 品詞と意味
①の文章  
 楚 春秋戦国時代の国名。
 祠者 名詞。意味は「祭祀を司る者」。
②の文章   
 賜 動詞。読みは「たま(ふ)」。意味は「与える」。
 舎人 名詞。意味は「召使い」。
 卮酒 名詞。意味は「大杯についだ酒」。
③の文章   
 相 接頭語。読みは「あい」。意味は「互いに」。
 謂ヒテ 動詞。読みは「い(ひて)」。意味は「語り合う」。
 曰ハク 動詞。読みは「い(はく)」。意味は「言った・言うことには」。
 之 指示語。ここでは「卮酒」のことを指す。
 不 打消の助動詞「ず」。
④の文章   
 請 動詞。読みは「こ(ふ)」。意味は「どうか~させてほしい」。
 画キテ 動詞。読みは「えが(きて)」。意味は「描く」。
 為 動詞。意味は「つく(り)」。意味は「絵をこしらえる」。
 成 動詞。意味は「完成する」。
⑤の文章   
 且 再読文字。読みは「まさ(に)~す」。意味は「いまにも~しようとする」。

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「蛇足」和訳・現代語訳

①楚の国に祭祀を司る者がいた。
②その人が(ある時)自分の召使いたちに大杯についだ酒を与えた。
③召使いたちは、互いに語り合って言うことには、「数人でこの酒を飲むと足りない、一人でこの酒を十分余る。
④地面に蛇の絵を描き、最初に完成させた者が酒を飲めるということにしようではないか。」と。
⑤一人の者が最初に蛇の絵を完成させて、酒を引き寄せていまにも飲もうとした

漢文「蛇足」の重要事項 

 
 
いかがでしたでしょうか。
最後にこの文章での
重要な所は次の通りです。
 
 
 

・⑤の文章にある再読文字「且」は重要句形ですので、書き下し文と訳ができるようにしておきましょう。

 
  

続きは以下のリンクからどうぞ。

『戦国策』「蛇足」の書き下しと現代語訳と重要表現の解説2

 

【 山東京伝作鳥文斎栄之画『三千歳成云蚺蛇』(天明七年刊)を参考に挿入画を作成】

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