古文の重要な終助詞の練習問題

  

前回、古文で重要な終助詞について解説しました。

今回は、実際に出題された終助詞の入試問題を使って練習してみましょう。

  

入試問題に挑戦!

練習問題

問題

傍線①~④の解釈として最も適当なものを、次の中からそれぞれ一つずつ選べ。

あはれ、見ばや。(『一本菊』)

ア いとしいなあ、会えればいいなあ
イ しみじみと心惹(ひ)かれるので、会ってみようかしら
ウ ああ、会いたいものだ
エ 本当に、会えるかもしれない
オ かわいそうだなあ、会ってみたらどうだろうか
【センター試験 2009年】

わがあらむ世に見おくこともがな。(『更級日記』)

ア 私が生きているうちに見届けておくことができたらなあ
イ 私が都にいるうちに世話をしておくことができたらなあ
ウ 私が養っている家族なので見捨ててしまっても困るなあ
エ 私が働いている宮中で一人前にできなかったら困るなあ
【國學院大学 2008年】

御文ならで、聞こえしがな。(『平中物語』)

ア お手紙でなくて、直接お話し申し上げたい
イ お手紙がもらえないなら、直接お聞きしたい
ウ お手紙に書けないので、直接口で申し上げたい
エ お手紙を出さなくても、噂になっていたのかな
【國學院大学 2009年】

ないでこそ(『宇津保物語』)

ア そんなことはないはずだ
イ ありませんね
ウ 出てくるな
エ 無いはずはない
オ 出ておいで
【九州産業大学 2009年】

  
  
  
  
  

練習問題の解説

  

では、傍線①から見ていきましょう。

まず、文末にある「ばや」は、自己の願望を表わす終助詞です。「~たい」と訳しますので、「見ばや」で、普通は「見たい」という訳になります。ただ選択肢を見ると、すべて「見る」と「会う」というふうに訳していますので、今回は「会いたい」という訳になります。ここがわかるだけで、選択肢が一つに絞られるのですが、一応、前にある「あはれ」の意味も確認しておきましょう。「あはれ」は感動詞で、「ああ」という意味になります。よって答えはウになります。

傍線①の正解:ウ ああ、会いたいものだ

  

次に、傍線②を見てみましょう。
まず、文末にある「もがな」は、人の状態に対する願望を表わす終助詞で、「~あればいいのになあ」と訳します。「見おくこともがな」を、直訳すると「見ておくことがあればいいのになあ」となります。日本語として少し変ですので、少し修正しますと、「見ておくことができればなあ」という訳になります。これに合った選択肢はアかイになります。あとは、「世」を「現世」と訳すか「世話」と訳すかが、分かれば答えに行きつきます。「世」の前に「わがあら」とありますので、「自分がいる現世」というふうに訳した方が自然ですので、答えはアになります。

傍線②の正解:ア 私が生きているうちに見届けておくことができたらなあ

  

次に、傍線③を見ていきましょう。
まず、文末にある「しがな」は、「にしがな・てしがな」の「に」と「て」がありませんが、自己の願望を表わす終助詞です。意味も「~したいものだ」で「てしがな・にしがな」と変わりません。「聞こえ」は「聞こゆ」という謙譲語で意味は申し上げるです。よって、「聞こえしがな」は、「申し上げたいものだ」という訳になります。これに合った選択肢はアかウになります。あとは「御文ならで」が訳せればいいのですが、選択肢を見るとすべての選択肢が「御文」を「お手紙」、「で」を否定の意味で訳しています(「で」は、打消の接続助詞です)。ですから、「なら」という言葉の意味が分かればよいということになります。「なら」の前に「御文」という名詞がありますので、「なら」は断定の助動詞と判断することができます。よって、「御文ならで」は、「お手紙でなくて」という訳になります。以上を踏まえると答えは、アになります。

傍線③の正解:ア お手紙でなくて、直接お話し申し上げたい

  

最後に、傍線④を見てみましょう。

まず、文頭に「な」、文末に「そ」がありますので、「な~そ」で、禁止を表わす終助詞となります。意味は「~するな」となり、この時点で選択肢が一つに絞られます。ちなみに、真ん中にある「いでこ」は、「出で来」というカ変動詞で、意味は「出てくる」です。以上を踏まえると正解はウになります。

傍線④の正解:ウ 出てくるな

  

  

いかがでしたでしょうか。  

今回取り上げた終助詞は現代語訳の問題でよく出題されますので、意味が分かるようにしておく必要があります。また、今回取り上げなかった他者への願望を表わす終助詞の「なむ」は識別の問題で大変よく出題されます。「なむ」の問題に関しては以下のページに練習問題がありますので、そちらをご覧ください。

「なむ」の練習問題の頁(ページ)

  

  

ありがとうございました。
終助詞は意味さえ分かれば
問題が解けるんですね。
勉強したいと思います。

  
  

佐吉君、たまには
いいこと言いますね。
家で復習して下さい。
帰る前に素麺を全部
食べて下さい。
私、いりませんよ。
  

  

子どもが食べる
量じゃなかった・・・。
次から量、考えます。

  
  

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