『韓非子』「侵官之害」の書き下しと和訳と重要表現の解説2

  

では、「侵官之害」の前回の続きの文章を見ていきましょう。

前回の解説はこちら。

  

『韓非子』「侵官之害」の書き下しと和訳と重要表現の解説1

  
  

「侵官之害」本文

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「侵官之害」書き下し文

※カギカッコの中のひらがなは現代仮名遣いの読み仮名です。色が付いている箇所は漢字をひらがなで書き下す箇所です。

⑥其(そ)の典衣(てんい)を罪(つみ)せるは、以(も)つて其の事を失ふと為(な)せばなり
⑦其の典冠(てんかん)を罪せるは、以つて其の職を越(こ)ゆと為せばなり
⑧寒きを悪(にく)まるに非(あら)ざるなり
⑨以為(おも)へらく、官を侵(おか)す害は、寒きよりも甚(はなは)だしと。
⑩故(ゆえ)に明主(めいしゅ)臣を畜(やしな)ふや、臣は官を越えて功有るを得、言を陳(の)べて当(あ)たらるを得(え)
⑪官を越ゆれば則(すなわ)ち死(ころ)され、当たられば則ち罪せらる。

 

語釈

語句 品詞と意味
⑥の文章  
 以セバA 連語。重要句形。読みは「もつ(て)A(と)な(せば)」。意味は「Aとする・Aと思う」。
 失 動詞。意味は「しくじる」。
 事 名詞。ここでは「仕事・業務」という意味。
 也 断定の助動詞。読みは「なり」。意味は「~である」。
⑦の文章   
 職 名詞。意味は「職務」。
⑧の文章   
 非ザルルニA 連語。重要句形。読みは「Aざ(るに)あら(ざる)」。意味は「Aをしないのではない」。二重否定で強い肯定を表す。
 悪 動詞。読みは「にく(ま)」意味は「不快と思う」。
⑨の文章   
 以為ヘラクA 連語。重要句形。読みは「A(と)おも(へらく)」。意味は「Aと思う」。
 官 名詞。意味は「役目」。
 之 助詞。読みは「の」。意味は「~の」。
 甚ダシ 形容詞。読みは「はなは(だし)」。意味は「はるかに大きい」。
 於 置き字。読まない書き下さない。
⑩の文章   
 故 接続詞。読みは「ゆえ(に)」。意味は「そのために」。
 明主 名詞。意味は「賢明な君主」。
 之 助詞。読みは「の」。意味は「~が」。
 畜 動詞。読みは「やしな(ふ)」。意味は「養い育てる」。
 不得 連語。読みは「えず」。意味は「~できない」。
 而 置き字。読まない書き下さない。
 功 名詞。意味は「功績」。
 陳 動詞。読みは「の(べ)」。意味は「述べる」。
 不タラ 連語。読みは「あ(たら)ざ(る)」。意味は「引き受けない・仕事を引き受けない」。
⑪の文章   
 則 接続詞。読みは「すなわ(ち)」。意味は「その時は」。
 死サレ 動詞。読みは「ころ(され)」。意味は「死刑にされる」。

「侵官之害」和訳・現代語訳

⑥(昭侯が)典衣を処罰したのは、自分の業務をしくじったとみなしたからである。
⑦(昭侯が)典冠を処罰したのは、自分の職務を越えた業務を行ったとみなしたにからである。
⑧(昭侯は)寒さを不快と思わないわけではない。
⑨(他の役人の)役目を侵した害は、寒さからくる害よりもはるかに大きいと思ったからである。
⑩そのため賢明な君主が家臣を養い育てる時、家臣は自分の役目を越えて功績を上げることはできないし、意見を述べたらそのとおりに仕事を引き受けないことはできない。
⑪(家臣が)自分の役目を越えれば、その時は死刑にされ、(意見を述べてそのとおりに)仕事を引き受けなければその時は処罰される。

漢文「侵官之害」の重要事項 

 
 
いかがでしたでしょうか。
最後にこの文章での
重要な所は次の通りです。
 
 
 

重要句形(「以セバAト」・「非ザルルニA・「以為ヘラクAト」は読みと意味が分かるようにしておきましょう。

・「則チ」・「悪マ」・「甚ダシ」・「故ニ」は読めるようにしておきましょう。

・⑩の文章の返り点が付けられるようにしておきましょう。

  

  

ありがとうございました。
やはり自分の役職を越えた
行為は帝王学に反するもの
なんですね。

 
 
  
 
そうみたいですね。
難しい世界ですね。
 
 
 
 
お侍さん、お話してくれて
ありがとうございました。
これ、ちょっとした
お礼です。
 
 
 
 
  
 
ん?
なんですか?これ?
 
 
 
 
ねるねるねるねの
「2」の粉です。
 
 
  
 
いらねー。
こんなんなんぼあっても
いらないです!

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