入試問題に挑戦!
前回、「なむ」の種類と見分け方について説明しました。
今回は、実際に出題された入試問題を使って練習してみましょう。
練習問題
(『うたたね』)
問 傍線「なむ」と文法的に同じ用法のものを次の中から一つ選べ。
ア 長くとも四十に足らぬほどにて死なむこそめやすかるべけれ。
イ 池の蛙を取りければ御覧じ悲しませたまひてなむ。
ウ もののあはれも知らずなりゆくなむあさましき。
エ なかなかあらまほしき方もありなむ。
オ 鶯は植木の木間を鳴きわたらなむ。
(駒澤大学 2012年)
練習問題の詳しい解説
まず、問題文の「なむ」から分析します。
見分け方でまずやることは、「なむ」の前の動詞の接続が何形かに注目します。
今回は非常に難しく、「出で」はダ行下二段活用動詞で、未然形は「出で」、連用形も「出で」と同じで、それだけだと判断できません。
結局今回は、訳してみて、『強意(確述)の助動詞「ぬ」の未然形の「な」+推量または意志の助動詞「む」の終止形』か『願望の終助詞の「なむ」』かを判断するしかありません。
①『強意(確述)の助動詞「ぬ」の未然形の「な」+推量または意志の助動詞「む」の終止形』の場合
②
『願望の終助詞の「なむ」』の場合
『強意(確述)の助動詞「ぬ」の未然形の「な」+推量の助動詞「む」の終止形』の場合の方が、日本語としてふさわしい感じがします。
よって、問題文の「なむ」は『強意(確述)の助動詞「ぬ」の未然形の「な」+推量の助動詞「む」の終止形』と判断します。
次に選択肢の分析をします。ア~オの中で、『強意(確述)の助動詞「ぬ」の未然形の「な」+推量の助動詞「む」の終止形』なのは、「エ なかなかあらまほしき方もありなむ。」です。「なむ」の前の動詞「あり」がラ行変格活用動詞の連用形であることがわかります。
現代語訳:かえって理想的な人のいるでしょう。
残りの選択肢も確認しましょう。
現代語訳:長くても40歳にいかないぐらいで、死ぬようなことが見苦しくないことであろう
現代語訳:池の蛙を取ったので、(綾小路宮が)御覧になってお悲しみなさり、縄を引かせなさった。(かっこの部分は結びの省略)
現代語訳:物事の情趣も分からなくなっていくのは、嘆かわしいことである
現代語訳:鶯は植木の木の間を鳴きながら飛んで行ってほしい。
正解: エ かなかあらまほしき方もありなむ。
いかかでしたでしょうか?
「なむ」は大学入試でかなり出題されていますので、しっかり見分けられるようにしておく必要があります。
全4種類のうち出題頻度はやはり『強意(確述)の助動詞「ぬ」の未然形の「な」+推量または意志の助動詞「む」の終止形』が多く、その次が『願望の終助詞「なむ」』と『係助詞の「なむ」』です。
まず、『強意(確述)の助動詞「ぬ」の未然形の「な」+推量または意志の助動詞「む」の終止形』を重点的に覚えてから残りを覚えることをお勧めします。