『方丈記』「安元の大火」の現代語訳と重要な品詞の解説1

お断り:この記事には、最初に倉橋先生とゆかいな仲間たちの戯れがあります。お急ぎの方は、上にある目次の見たい項目をクリックすると、その解説に飛びますので、そちらをご利用ください。なお、解説は真面目にしております。
  
  
いや~。
自粛が解除されて、
久しぶりの散歩は、
気持ちいいなあ~♪
  
  
  
  
  
  
助けて~。
燃えてる~。
炎上している~。
  
  
  
  
えっ?
火事ですか?大変!
誰の家ですか?
早く消防車呼ばないと!
    
  
  
燃えているのは、
家じゃないんです~。
私のtwitterです~。
  
  
  
  
  
(笑)。
炎上しているんですね。
それは、大変ですね。
何てツイートしたんですか?
  
  
  
  今、世間で叩かれている
アンジャッシュ大嶋は
悪くないって、
言ったら、リプライが
めっちゃ、やばくて。
  
  
  
それ、間違えている
からですよ~。まず、
大嶋じゃなくて児嶋です!
あと、叩かれてるのは、
渡部さんの方ですよ。
  
  
  
えっ?そうでしたか~。
じゃあ、完全に
鎮火したんですね。
良かった~。
  
  
  
そもそも、炎上、
していないんですけど…。
まあ、本当の火事じゃ
ないだけでも良かったわ。
  
  
  
  
本当の火事って、
どのくらいすごいんですかね?
  
  
  
  
いやー、すごいですよ。
昔は特に木造ですから、
『方丈記』にも、火事の
恐ろしさの記述もありますし。  
  
  
  
  
  
それ、聞きたーい。
是非、教えて下さい。
  
  
  
いいですよ。
お教え差し上げましょう。
  
  
  
  

本文

 予、ものの心【注1】知れりし【注2】より、四十あまりの春秋【注3】送れる【注4】あひだに、世の不思議を見る【注5】こと、ややたびたびになりぬ【注6】
いにし【注7】安元三年四月二十八日かとよ。風激しく【注8】吹きて、静かならざりし【注9】夜、戌の時【注10】ばかり、都の東南より火出で来【注11】て、西北に至る。果てには朱雀門【注12】大極殿【注13】大学寮【注14】民部省【注15】などまで移りて、一夜のうちに塵灰となりにき【注16】。火もとは、樋口富小路【注17】とかや【注18】舞人【注19】宿せる【注20】仮屋【注21】より出で来たりける【注22】なん【注23】

重要な品詞と語句の解説

語句【注】 品詞と意味
1 ものの心 名詞。意味は「物事の道理」。
2 知れりし ラ行四段動詞「知る」の已然形+完了の助動詞「り」の連用形+過去の助動詞「き」の連体形。意味は「理解した」。
3 春秋 名詞。意味は「歳月」。
4 送れる ラ行四段動詞「送る」の已然形+存続の助動詞「り」の連体形。意味は「送っている」。
5 見る マ行上一段動詞「見る」の連体形。
6 なりぬ ラ行四段動詞「なる」の連用形+完了の助動詞「ぬ」の終止形。意味は「なった」。
7 いにし 連体詞。意味は「去る」。
8 激しく シク活用の形容詞「激し」の連用形。
9 静かならざりし ナリ活用の形容動詞「静かなり」の未然形+打消の助動詞「ず」の連用形+過去の助動詞「き」の連体形。意味は「静かでなかった」。
10 戌の時 連語。午後八時頃。
11 出で来 カ変動詞「出で来」の連用形。意味は「出てくる」。
12 朱雀門 名詞。平安京の大内裏の南面中央にある門の名称。
13 大極殿 名詞。大内裏にある天皇が政務をとる正殿。
14 大学寮 名詞。官吏養成の教育機関のこと。
15 民部省 名詞。戸籍などをつかさどった役所のこと。
16 なりにき ラ行四段動詞「なる」の連用形+完了の助動詞「ぬ」の連用形+過去の助動詞「き」の終止形。意味は「なってしまった」。
17 樋口富小路 名詞。道の名称。
18 とかや 格助詞「と」+係助詞「か」+間投助詞「や」。意味は「~とかいうことだ」。
19 舞人 名詞。舞を舞う人のこと。
20 宿せる サ変動詞「宿す」の已然形+存続の助動詞「り」の連体形。意味は「泊めている」
21 仮屋 名詞。意味は「仮小屋」。
22 出で来たりける カ変動詞「出で来」の連用形+完了の助動詞「たり」の連用形+過去の助動詞「けり」の連体形。意味は「出火してしまった」。
23 なん 係助詞。「なん」の後に「聞く」などが省略されている。

係り結びの省略については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。

係り結びの省略と流れの解説

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現代語訳

 私が、物事の道理を理解した時から、四十年あまりの歳月を送っている間に、世の中の予測のつかないことを見ることが、やや頻繁になった。
去る、安元三年四月二八日のことであっただろうか。風が激しく吹いて、静かでなかった夜、八時頃に、都の東南から火事が起こって、西北へ燃えていった。しまいには朱雀門、大極殿、大学寮、民部省にまで燃え移って、一晩のうちにちりや灰になってしまった。火元は、樋口富小路だとかいうことだ。舞を舞う人を泊めている仮小屋から出火してしまったと(聞く)。
  

  

いかがでしたでしょうか。

この箇所で特に重要な文法事項は次の通りです。

  
  

・助動詞の種類が分かるようにしておきましょう。

  

続きは以下のリンクからどうぞ。

『方丈記』「安元の大火」の現代語訳と重要な品詞の解説2

  

【十返舎一九作画『化物尽』(文化六年刊)を参考に挿入画を作成】

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