✔この記事で解決できること
・音便が分かります。
・助動詞の種類と活用が分かります。
・敬語表現が分かります。
・定期試験でよく聞かれる所が分かります。
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では、「木曽の最期」の前回の続きの文章を見ていきましょう。
前回の解説はこちら。
「木曽の最期」本文
木曾殿はただ一騎、粟津の松原へ駆けたまふ【注1】が、正月二十一日、入相【注2】ばかりのことなる【注3】に、薄氷は張つたりけり【注4】、深田ありとも知らず【注5】して、馬をざつと打ち入れたれ【注6】ば、馬の頭も見えざりけり【注7】。あふれども【注8】あふれども、打てども打てども働かず【注9】。今井がゆくへの【注10】おぼつかなさ【注11】に、振り仰ぎたまへる【注12】内甲を、三浦の石田次郎為久【注13】おつかかつて【注14】、よつ引いて【注15】ひやうふつと【注16】射る。痛手なれ【注17】ば、真向を馬の頭に当ててうつぶしたまへる【注18】ところに、石田が郎等【注19】二人落ち合うて【注20】、つひに木曾殿の首をば取つてんげり【注21】。
「木曽の最期」重要な品詞と語句の解説
語句【注】 | 品詞と意味 |
1 駆けたまふ | カ行下二段動詞「駆く」の連用形+ハ行四段活用の補助動詞「たまふ」の連体形。意味は「お駆けになる」。「たまふ」は尊敬語で、木曾義仲に対する敬意。 |
2 入相 | 名詞。意味は「日暮れ・夕暮れ」。読みは「いりあい」。 |
3 なる | 断定の助動詞「なり」の連体形。 |
4 張つたりけり | ラ行四段動詞「張る」の連用形+存続の助動詞「たり」の連用形+過去の助動詞「けり」の終止形。意味は「張っていた」。「張つ」は「張り」が促音便化している。 |
5 知らず | ラ行四段動詞「知る」の未然形+打消の助動詞「ず」の終止形。 |
6 打ち入れたれ | ラ行下二段動詞「打ち入る」の連用形+完了の助動詞「たり」の已然形。意味は「鞭を打って入った」。 |
7 見えざりけり | ヤ行下二段動詞「見ゆ」の未然形+打消の助動詞「ず」の連用形+過去の助動詞「けり」の終止形。意味は「見えなくなった」。 |
8 あふれども | ラ行四段動詞「あふる」の已然形+接続助詞「ども」。意味は「あおっても」。 |
9 働かず | カ行四段動詞「働く」+打消の助動詞「ず」の終止形。意味は「動かない」。 |
10 の | 格助詞の主格。意味は「~が」。
「の」の見分け方については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 |
11 おぼつかなさ | 名詞。意味は「気がかり」。 |
12 振り仰ぎたまへる | ガ行四段動詞「振り仰ぐ」の連用形+ハ行四段活用の補助動詞「たまふ」の已然形+完了の助動詞「り」の連体形。意味は「振り向き仰ぎなさった」。「たまへ」は尊敬語で、木曾義仲に対する敬意。 |
13 石田次郎為久 | 人名。源頼朝方の武将。 |
14 おつかかつて | ラ行四段動詞「おひかかる」の連用形+接続助詞「て」。意味は「追いかけて」。「おつかかつ」は「おひかかり」が促音便化している。 |
15 よつ引いて | ク活用の形容詞「よし」の連用形+カ行四段動詞「引く」の連用形+接続助詞「て」。意味は「よく引いて」。「よつ」は「よく」が促音便化、「引い」は「引き」がイ音便化している。 |
16 ひやうふつと | 副詞。意味は「ひゅっと」。 |
17 なれ | 断定の助動詞「なり」の已然形。 |
18 うつぶしたまへる | サ行四段動詞「うつぶす」の連用形+ハ行四段活用の補助動詞「たまふ」の已然形+完了の助動詞「り」の連体形。意味は「うつ伏せになられた」。 |
19 郎等 | 名詞。意味は「家来」。読みは「ろうどう」。 |
20 落ち合うて | ハ行四段動詞「落ち合ふ」の連用形+接続助詞「て」。「落ち合う」は「落ち合ひ」がウ音便化している。 |
21 取つてんげり | ラ行四段動詞「取る」の連用形+完了の助動詞「つ」の連用形+過去の助動詞「けり」の終止形。意味は「取ってしまった」。「てんげり」は「てけり」に撥音と濁音が付いたもの。 |
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「木曽の最期」現代語訳
木曽殿はただ一騎で粟津の松原へ馬を駆けなさるが、正月二十一日、日暮れのことであるので、薄氷が張っていた、深い田んぼがあるとも知らずに、馬をざっと鞭を打って入れたので、(馬がはまってしまい)馬の頭も見えなくなった。(馬の腹を蹴って)あおっても、鞭で打っても、馬は動かない。今井の行方が気掛かりになって、振り向き仰ぎなさった甲の内側を、三浦の石田次郎為久が追いついて、弓をよく引いて、ひゅっと射る。(その矢が当たって)重症であるので、甲の正面を馬の頭に当ててうつ伏せになられた所に、石田の家来二人が駆け寄って、ついに木曽殿の首を取ってしまった。
いかがでしたでしょうか。
この箇所で特に重要な文法事項は次の通りです。
・音便は種類と元の形が分かるようにしておきましょう。
・敬語表現は種類が分かるようにしておきましょう。
・注21「取つてんげり」は音便化する前の元の形が分かるようにしておきましょう。
続きは以下のリンクからどうぞ。