係り結びの法則の解説

お断り:この記事には、最初に倉橋先生とゆかいな仲間たちの戯れがあります。お急ぎの方は、上にある目次の見たい項目をクリックすると、その解説に飛びますので、そちらをご利用ください。なお、解説は真面目にしております。

こんにちは。今回は中学校で
学習した係り結びの法則を
復習したいと思います。
皆、覚えているかな?

はーい。先生。

よろしい。
では、佐吉君、
説明できるかな?

もちろんです。ぶぅー。
すいません。
ちょっと風邪ぎみで。

そうか。体を大事に
するんだぞ。ところで、
係り結びの法則は
説明できるのかな?

もちろんです。

ぶふぅー。
ぶっー、ぶぶぅー。

……。よし、それでは
係り結びの法則を
復習します。

係り結びの法則とは

係り結びの法則とは、係助詞という助詞が文中にあることで、文末の活用形が終止形以外に変化する法則のことです。一般的に係助詞のことを係りと言い、文末の変化する語のことを結びと言います。

係り結びの法則の係助詞は全部で5つあり、「」・「なむ」・「」・「」が文中にあると、文末は連体形になり、「こそ」が文中にあると、文末は已然形になります。

「や」と「か」には疑問(~か。)か反語(~か。いや~だ。)の意味があり、「ぞ」・「なむ」・「こそ」には強意の意味がありますが、現代語訳をする際は特に訳す必要はありません。

係り結びの覚え方

文末に関しては「こそ」以外はすべて連体形なので、「こそ」だけ已然形、それ以外は連体形と覚えましょう。意味に関しては「や」と「か」は疑問と反語、そのほかは意味がないと覚えましょう。

練習問題1

では、実際に出題された
入試問題を使って
係り結びの問題を
解いてみましょう。

問題

鏡に神の心をこそは見 A 。(『土佐日記』)

問 空欄 A には、完了の助動詞「つ」の活用したものが入る。次の中から適切なものを一つ選べ。
ア て  イ つ  ウ つる  エ つれ  オ てよ

(名城大学 2011年)

練習問題1の解説

まず、本文の中から係助詞を探します。

「こそ」がありますので、文末は已然形になります。

あとは、完了の助動詞「つ」の活用が分かればいいだけです。

完了の助動詞「つ」の活用は以下の通り。 

よって、答えはエの「つれ」が入ります。

現代語訳:鏡の中に神の心を見てしまった。

もう一題、やってみましょう。

練習問題2

問題

思ひ出でて 人こそとは A  山里の まがきの荻に あきかぜは吹く
(『更級日記』)

問 傍線部「思ひ出でて人こそとは A 」について、次の①、②に答えなさい。 

①空欄Aの中に、打消の助動詞「ず」を適切な活用形にして補いなさい。

②傍線部全体を口語訳しなさい。

(千葉大学 2011年)

練習問題2の解説

まず、練習問題1と同じように本文の中から係助詞を探します。

「こそ」がありますので、打消の助動詞「ず」を已然形に活用します。

打消の助動詞「ず」の活用は以下の通り。

上の表の已然形のところを見ると、「ね」と「ざれ」の二つがあります。どちらを入れた方がよいのか迷いますね。

助動詞の活用には本活用補助活用というものがあります。

本活用は表の上の段にある活用(ず・ず・ず・ぬ・ね)のことで、名詞や助詞や句読点などが下にある時に使用します。

補助活用は表の下の段にある活用(ざら・ざり・ざる・ざれ・ざれ)ことで、助動詞が下にある時に使用します。

ややこしいですが、「助動詞が下にある時は補助活用を使う」とだけ覚えておいた方がよいでしょう。

今回は助動詞が下にないので、「ね」を使用します。

①の正解:ね

あとは、訳の問題です。

ポイントは「とは」です。

「とは」は漢字で書くと「訪ふ」で、訪ねる・訪問するという意味です。

そこが分かると後は簡単です。

②の正解:思い出して訪ねてくる人がいない

現代語訳:思い出して 訪ねてくる人がいない この山里の 垣根の萩に 秋風が吹いている

いかがでしたでしょうか?

係り結びの法則は古典文法の基本中の基本なので、大学入試では絶対に間違えてはいけない問題になりますので、忘れないように繰り返し覚えるようにしましょう。

この他に、係り結びには省略と流れというものがあり、むしろ入試問題ではこちらの方がよく聞かれます

省略と流れについてはまた別の記事で説明しますので、そちらもご参照ください。

係り結びの省略と流れの解説のページ

【鈴木春信画『絵本諸芸錦』(宝暦十三年刊)を参考に挿入画を作成】

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