こんにちは。今回は
係り結びの省略と流れに
ついてお話します。
皆、前回の係り結びの法則は
理解できたかな?
はーい。大丈夫です。
ところで、倉橋先生、
いつもと雰囲気違いません?
わかるー。
歌舞伎役者っぽいだろ。
こう見えても若い頃は
七代目市川團十郎に
似てるって言われたんだぞ。
すごーい。七代目團十郎って
天保の改革で手鎖にあって
江戸十里四方所払に
あった人ですよね。
先生も処分されないように
気を付けてくださいね。
……。
まずは、係り結びの省略から
確認しまーす。
結びの省略とは
大学入試では、省略された結びの語を補う問題がよく出題されます。
練習問題で確認しましょう。
練習問題1
(『うたたね』)
傍線「いづくにか」の後に省略されているものを、次のうちから一つ選べ。 ア 来める イ あらん ウ 参らばや エ あるじ オ 多かりし
(同志社大学 2012年)
練習問題1の解説
まず、傍線部の分析からしましょう。
係助詞の「か」がありますので、省略されている語の文末は連体形になることが分かります。
「いづくにか」は「どこに」という意味の疑問詞のような言葉です。
カギ括弧がついている2か所が質疑応答になっており、その内容から省略されている語を推測することになります。
現代語訳してみると、「私が『どこにいるでしょうか?』と尋ねたところ、相手が「比良の高嶺や比叡山などでございます』と言った」という訳になりますので、「いるでしょうか」という言葉に合う選択肢を選べばよいということになります。
選択肢の中で「イ あらん」が適当なものとなります。「あら」はラ変動詞「あり」の未然形で、「ある」や「いる」という意味で、「ん」は推量の助動詞です。
他の選択肢も見て見ましょう。
アの「来める」は「来」がカ変動詞で、「める」が推定の助動詞です。意味は「来るようだ」です。
ウの「参らばや」は「参る」が「行く」の謙譲語で、「ばや」は願望の終助詞です。意味は「参りたい」です。
エの「あるじ」は「ある」はラ変動詞で、「じ」は打消推量の助動詞です。意味は「いないだろう」です。
オの「多かりし」は「多かり」はク活用の形容詞で、「し」は過去の助動詞です。意味は「多かった」です。
練習問題1の正解:イ あらん
結びの流れとは
では、次に結びの流れについてお話します。
練習問題で確認しましょう。
練習問題2
藤はおくれて色づきなどこそはすめるを、
(『源氏物語』)
傍線部に含まれる助動詞をすべてあげ、その文法的意味を説明せよ。
(例 尊敬の助動詞「す」の終止形)(愛知県立大学 2012年)
練習問題2の解説
まず、傍線部の中から係助詞を探します。
「こそ」がありますので、本来であるなら、文末は已然形になります。
ところが、今回は「を」という接続助詞があるため、前にある推定の助動詞の「めり」が已然形の「めれ」ではなく、連体形の「める」になっています。これは結びが流れているためです。
よって答えは以下の通り。
練習2の正解:推定の助動詞「めり」の連体形
現代語訳:藤の花は遅れて色づきなどをするようだが、
いかかでしたでしょうか。
結びの流れの方は、大学入試でそれほど聞かれることはないのですが、結びの省略の方は聞かれることが多いので、文脈から言葉を補えるようにしておきましょう。
最後に係り結びの法則に関する練習問題を作りましたので、よろしかったら、ご確認下さい。
【市場通笑作鳥居清長画『かごめかごめ籠中鳥』(安永八年刊)・朋誠堂喜三二作恋川春町画『染直飛色曾我』(天明二年刊)を参考に挿入画を作成】
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