近畿大学の古文の入試問題の解説(2015年)

お断り:この記事には、最初に倉橋先生とゆかいな仲間たちの戯れがあります。お急ぎの方は、上にある目次の見たい項目をクリックすると、その解説に飛びますので、そちらをご利用ください。なお、解説は真面目にしております。

本日は、近畿大学の2015年の古文の入試問題を学習していきましょう。

倉橋先生、古文なんか勉強しないで、
今日は私たちマグロについて勉強しましょうよ。

近大はマグロが有名だからって、郷学所ではマグロは勉強しません。
私、古文と漢文は詳しいですが、マグロについては詳しくありません。
あと、あなたはマグロではありませんよ。鯛ですよ。見た目。

いいえ。前回も言いましたが、
私は、歴としたマグロです。
ちゃんとウロコとヒレが付いてますでしょ?
それが証拠です。

鯛にもウロコとヒレ付いてますよ(笑)。
分かりました。本人がそこまで主張するなら、マグロとしましょう。
ところでお名前をまだ伺ってなかったのですが、教えていただけますか?

失礼いたしました。
拙者、篠原鯛之進と申します。

やっぱり鯛じゃん。

本文が長いので、前半と後半に分けます。

過去問に挑戦!

前半の本文

次の文章を読んで、後の問いに答えよ。

さりがたき人の、「歌よむやう教へよ」と、たびたび仰せられ候へども、「わがよく知りたることをこそ人にも教へ候ふなれ、いかでかは」といなみ申し候ふを、①あながち恨み仰せられ候ふもわりなくて、そぞろなることを書きつけ候ひぬるぞ。(中略)

歌を案ずるに、はじめ A より次第によみくだされむことは、申すにおよばず考ふべからず。さらでは歌よむ故実とて、つねにうけたまはり候ひしは、「下の七七の句をよく思ひしたためて後、第二句より案じて後に、②はじめの五文字をば、本末【注1】にかなふやうに、よくよく思ひさだむべし」とて候ひき。上の句より次第によむほどに末弱になることの候へば、その用心とおぼえ候ふ。

【注】 注1 本末ー和歌の上の句を「本」といい、下の句を「末」という

前半の設問

(設問は前半の部分のものを載せています。)

問一 傍線①「あながち恨み仰せられ候ふもわりなくて」の意味内容として、最も適切なものを次の中から一つ選べ。
ア 「さりがたき人」が、私に無理を申し付け、恨みをおっしゃいますのも、困ったことで
イ 「さりがたき人」が、私にむやみと恨みごとをおっしゃいますのも、どうしようもなく
ウ できないことなのに、私に強制して、恨みごとをおっしゃいますのは道理に合わなくて
エ 私にわがままを申し付け、恨みごとをおっしゃいますが、何とも我慢のできないことで

問二 空欄 A に入る言葉として、最も適切なものを次の中から一つ選べ。
ア 五文字
イ 七文字
ウ 第二句
エ 七七の句

問三 傍線②「はじめの五文字をば、本末にかなふやうに、よくよく思ひさだむべし」はどういうことか。最も適切なものを次の中から一つ選べ。
ア 冒頭の五文字と均衡をとるように、上の句や下の句を調整すべきである
イ 冒頭の五文字は素人には無理なので、上の句や下の句を練るべきである
ウ 冒頭の五文字は上の句や下の句に適するように熟慮すべきである
エ 最初の五文字を失敗すると、本末転倒なので、配慮すべきである

前半の設問の解説

では、問一の現代語訳の問題から見ていきましょう。
傍線①は、「あながちなり」と「わりなし」という重要単語の意味が分かれば解ける問題です。
「あながち」は、「むやみに」という意味の副詞です。「あながちなり」という形容動詞でも出てくることもありますので、覚えておきましょう。
「わりなし」は、「むちゃくちゃだ・どうしようもない」という意味のク活用の形容詞です。この二つの単語の意味をきちんと訳している選択肢はイです。

問一の正解:イ 「さりがたき人」が、私にむやみと恨みごとをおっしゃいますのも、どうしようもなく

次に、問二の空欄問題を見てみましょう。
これは、現代文の空欄問題と同じように、空欄のある文章の内容を考えます。そうすると、「はじめ A より次第によみくだされむこと」の所は、「最初 A から順番に下に詠んでいくこと」という内容となり、「考ふべからず」の所は、「考えてはならない」という内容になります。「和歌を順番に下に詠んでいく」ということは、「和歌の5・7・5・7・7を上から順番に詠んでいく」ことですので、空欄Aに入るのは最初の「五文字」となります。

問二の正解: ア 五文字

 最後に、問三の現代語訳の問題を見てみましょう。
傍線②は会話文の一部分であり、文章の途中から傍線が引かれているため、傍線が引かれていない前の部分の訳も踏まえて考える必要があります。傍線が引かれていない所(下の七七の句をよく思ひしたためて後、第二句より案じて後に)の訳は、「下の句の七七の句をよく考え準備した後、第二句から考えたあとに」となり、和歌の句を考える順番について述べていることが分かります。考える順番としては、最初に下の句の七七を考え、次に上の句の第二句の七文字を考え、その次に第三句の五文字を考え、最後に上の句の最初の五文字を考えるということになりますこれは、句の重要さの順位となっており、一番大事なのが下の句の七七で、次に大事なのが第二句の七文字、次に大事なのが第三句の五文字で、一番大事でないのが、際魚の五文字となります。傍線内にある「本末」は、注が付いており、「本」は上の句、末が下の句とありますので、「上の句と下の句に適う(合う)ようによく考えて最初の五文字の内容を決定するのがよい」というのが、傍線②の意味となります。それに適した選択肢は、ウとなります。

問三の正解 ウ 冒頭の五文字は上の句や下の句に適するように熟慮すべきである

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現代語訳

断りきれない人が、「和歌の詠み方を教えて」とたびたびおっしゃたのですが、「自分がよく知っていることであるなら人にも教えますが、和歌に関してはどうしてできましょうか」とお断りを申し上げましたが、①その人がむやみに私に恨み言をおっしゃってもどうしようもないので、思いついたことを書き付けました。(中略)

和歌を詠もう考えると、最初の五文字から順番に下に詠んでいくようなことは、申し上げるまでもなく考えてはいけないです。そうではなくて、和歌を詠む習わしとして、常に承っていました言葉には、「下の句の七七の句をよく考え準備した後、次に第二句から考えた後に、②最初の五文字を上の句と下の句の調和に合うようによくよく考えて定めるのがよい」とございました。上の句から順番に詠むと、下の句が弱くなることがございますので、その用心であると思っております。

いかがでしたでしょうか。
問一は、単語の意味が分かれば解ける問題、問二と問三は、よく読めば分かる問題となっており、点数の稼ぎ所と言えます。
近畿大学を合格するためには、すべて正解していていた方がよいでしょう。

後半は別のページに載せますので、そちらもご参照下さい。

近畿大学の古文の入試問題の解説(2015年)続き

【山東京伝作北尾重政画『花之笑七福参詣 』(寛政五年刊)を参考に挿入画を作成】

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