『十八史略』「先づ隗より始めよ」の書き下しと現代語訳と重要表現の解説1

お断り:この記事には、最初に倉橋先生とゆかいな仲間たちの戯れがあります。お急ぎの方は、上にある目次の見たい項目をクリックすると、その解説に飛びますので、そちらをご利用ください。なお、解説は真面目にしております。
この記事で解決できること
・ひらがなで書き下す所が分かります。
・重要表現が分かります。
・現代語訳が分かります。
・定期試験でよく聞かれる所が分かります。
 
 
 
先生。
お客様がお待ちです。
 
 
 
えっ?また?
今日も誰とも会う約束
していないんだけどなあ。
 
 
 
 
  
 
 
おお、昭王様。
お会いしたかったです。
御無事で何よりです。
 
 
 
 
 
えっ…。すいません。
私、昭王ではないですが。
どちら様ですか?
 
 
 
 
私、燕の賢者の貝です。
燕を立て直すために
昭王様の元に参りました。
 
 
 
 
そうですか…。
失礼ですけど、ここ、
日本ですよ。
国、間違えてません? 
 
 
えっ?日本なの?
じゃあ、昭王様、
いないじゃん。
 
 
 
 
そうですよー。
「先づ隗より始めよ」
みたいことは
起こりませんよ。 
 
 
 
そうですか…。
分かりました。せめて、
「先づ隗より始めよ」、
私に話して下さい。
 
 
 
 
 
よろしい。いいでしょう。
「先づ隗より始めよ」、
お話し致しましょう。
 
 
 

「先づ隗より始めよ」本文

 

「先づ隗より始めよ」書き下し文

※カギカッコの中のひらがなは現代仮名遣いの読み仮名です。色が付いている箇所は漢字をひらがなで書き下す箇所です。助詞と助動詞はひらがなで書き下します。

①燕人(えんひと)太子平(へい)を立てて君と為(な)す。
②是(これ)を昭王と為す。
③死を弔(とむら)ひ生を問ひ、辞を卑(ひく)くし幣(へい)を厚くして、以(もつ)て賢者を招く。
④郭隗(かくかい)に問ひて曰はく、「斉(せい)は孤(こ)国の乱(みだ)るるに因(よ)りて、襲ひて燕を破る。
⑤孤極めて燕の小にして以て報ずるに足らを知る。
⑥誠に賢士を得て、与(とも)に国を共(とも)にし、以て先王恥を雪(すす)がんことは、孤願ひなり
⑦先生可(か)なる者を視(しめ)せ。
⑧身之に事(つか)ふるを得ん。」と。

 

語釈

語句 品詞と意味
①の文章  
 燕 春秋戦国時代の国名。
 立テテ 動詞。意味は「擁立する」。
 太子 名詞。意味は「皇太子」。
 平 人名。
 為 動詞。意味は「~とする」。
 君 名詞。意味は「君主」。
②の文章   
 昭王 人名。燕王。
③の文章   
 死 名詞。意味は「戦死者」。
 問 動詞。意味は「見舞う」。
 生 名詞。意味は「生存者」。
 卑クシ 動詞。読みは「ひく(くし)」。意味は「へりくだる」。
 辞 名詞。意味は「言葉」。
 厚クシテ 動詞。読みは「あつ(くして)」。意味は「多くする」。
 幣 名詞。意味は「礼物」。
 以 接続詞。意味は「それによって」。
④の文章   
 郭隗 人名。読みは「かくかい」。燕の賢者の一人。
 曰ハク 動詞。読みは「い(はく)」。意味は「言った」。
 斉 春秋戦国時代の国名。
 因リテ 動詞。読みは「よ(りて)」。意味は「利用する」。
 孤 代名詞。読みは「こ」。意味は「私」。王侯の謙称。
 之 助詞。読みは「の」。意味は「~の」。
 乱 名詞。意味は「混乱」。
 而 置き字。読まない書き下さない。
 襲ヒテ 動詞。読みは「おそ(ひて)」。意味は「強襲する」。
⑤の文章   
 極メテ 副詞。読みは「きわ(メテ)」。意味は「非常に・よく」。
 小 名詞。意味は「小国」。
 不ルヲ 打消の助動詞。読みは「ざ(るを)」。
 報ズル 動詞。意味は「報復する」。
⑥の文章   
 与 副詞。読みは「とも(に)」。意味は「一緒に」。
 共ニシ 動詞。読みは「とも(にし)」。意味は「共有する」。
 国 名詞。意味は「国事・国政」。
 雪ガン 動詞。読みは「すす(がん)」。意味は「雪辱する」。
 先王 名詞。意味は「先代の王」。
 之 助詞。読みは「の」。意味は「~の」。
 也 断定の助動詞。読みは「なり」。意味は「~である」。
⑦の文章   
 視 動詞。読みは「しめ(セ)」。意味は「推挙して下さい・教えて下さい」。
 可ナル 名詞。意味は「可能な人物」。
⑧の文章   
 得 動詞。意味は「~たい」。
 身 名詞。意味は「自身」。
 事フルヲ 動詞。読みは「つか(ふるを)」。意味は「師事する」。
 之 指示語。ここでは「可者」を指す。

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「先づ隗より始めよ」和訳・現代語訳

①燕の大臣たちは、皇太子の平を擁立して王とした。
②この人が昭王となった。
③(昭王は、斉との戦争での)戦死者を弔い、生存者を見舞い、誰にでもへりくだった言葉を用い、贈り物を多くして、それによって賢者を招いた。
④(昭王は、ある時、家臣の)郭隗に尋ねて言った。「斉は、我が国の混乱を利用して、わが燕の国を強襲し、破った。
⑤私は、燕が小国で、報復するには力が足りないことをよく知っている。
⑥賢人を本当に得て、一緒に国事を共有し、それによって先代の王の恥を雪辱させることが、私の願いである。
⑦郭隗先生、(どうかそれが)可能な人物を推挙して下さい。
⑧私自身はその人物に師事したい。」と。

漢文「先従隗始」の重要事項 

 
 
いかがでしたでしょうか。
最後にこの文章での
重要な所は次の通りです。
 
 
 

・⑤の文章は返り点と送り仮名を付けられるようにしておきましょう。

・③の文章にある「卑辞」と「厚幣」の意味が分かるようにしておきましょう。

・助詞と助動詞がある文章は書き下し文ができるようにしておきましょう。

・⑧の文章の「之」が何を指すか分かるようにしておきましょう。

 
  

続きは以下のリンクからどうぞ。

『十八史略』「先づ隗より始めよ」の書き下しと現代語訳と重要表現の解説2

 

【 曼亭鬼武作葛飾北斎画『嗚呼唇気楼』(享和三年刊)を参考に挿入画を作成】

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