では、「唐に卒塔婆血つくこと」の前回の続きの文章を見ていきましょう。
前回の解説はこちら。
『宇治拾遺物語』「唐に卒塔婆血つくこと」の現代語訳と重要な品詞の解説4
本文
重要な品詞と語句の解説
語句【注】 | 品詞と意味 |
1 つけし | カ行下二段動詞「つく」の連用形+過去の助動詞「き」の連体形。意味は「付けた」。 |
2 ざざめき | カ行四段動詞「ざざめく」の連用形。意味は「ざわざわと音をたてる」。 |
3 ののしり合ひたり | ハ行四段動詞「ののしり合ふ」の連用形+完了の助動詞「たり」の終止形。意味は「騒がしくなった」。 |
4 の | 格助詞の主格。意味は「~が」。
「の」の見分け方については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 |
5 吹き来るか | カ変動詞「吹き来」の連体形+係助詞「か」。意味は「吹いてくるか」。 |
6 の | 格助詞の主格。意味は「~が」。 |
7 か | 係助詞「か」。 |
8 つつ闇 | 名詞。意味は「まっくら闇」。 |
9 なり | ラ行四段動詞「なる」の連用形。 |
10 あさましく | シク活用の形容詞「あさまし」の連用形。意味は「驚く」。 |
11 恐ろしげにて | ナリ活用の形容動詞「恐ろしげなり」の連用形+接続助詞「て」。
「にて」の見分け方については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 |
12 揺るぎ立ちにけり | タ行四段動詞「揺るぎ立つ」の連用形+完了の助動詞「ぬ」の連用形+過去の助動詞「けり」の終止形。意味は「揺れながら立ってしまっていた」。 |
13 いかに | 副詞。意味は「どうして」。 |
14 ののしり合ひたる | ハ行四段動詞「ののしり合ふ」の連用形+存続の助動詞「たり」の連体形。意味は「大声で騒いでいる」。 |
15 もてゆけ | カ行四段動詞「もてゆく」の已然形。意味は「だんだん~していく」。 |
16 しける | サ変動詞「す」の連用形+過去の助動詞「けり」の連体形。 |
17 逃げ得たる | ア行下二段動詞「逃げ得(う)」の連用形+完了の助動詞「たり」の連体形。意味は「逃げることができた」。 |
18 あれ | ラ変動詞「あり」の已然形。 |
19 知らず | ラ行四段動詞「知る」の未然形+打消の助動詞「ず」の連用形。 |
20 叫び合ひたり | ハ行四段動詞「叫び合ふ」の連用形+完了の助動詞「たり」の終止形。意味は「叫び合っていた」。 |
21 具し | サ変動詞「具す」の連用形。意味は「連れていく」。 |
22 失はず | ハ行四段動詞「失ふ」の未然形+打消の助動詞「ず」の連用形。 |
23 静かに | ナリ活用の形容動詞「静かなり」の連用形。 |
24 居たりける | ワ行上一段動詞「居る」の連用形+存続の助動詞「たり」の連用形+過去の助動詞「けり」の連体形。意味は「その場でじっとしていた」。「ける」は係助詞「ぞ」に呼応している。 |
25 なりにけれ | ラ行四段動詞「なる」の連用形+完了の助動詞「ぬ」の連用形+過去の助動詞「けり」の已然形。意味は「なってしまった」。 |
26 あざけり | ラ行四段動詞「あざける」の連用形。意味は「馬鹿にする」。 |
27 笑ひし | ハ行四段動詞「笑ふ」の連用形+過去の助動詞「き」の連体形。 |
28 死にけり | ナ変動詞「死ぬ」の連用形+過去の助動詞「けり」の終止形。 |
29 なりかし | 断定の助動詞「なり」の終止形+念押しの終助詞「かし」。意味は「~であるよ」。 |
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現代語訳
いかがでしたでしょうか。
この箇所で特に重要な文法事項は次の通りです。
・「なり」の識別ができるようにしておきましょう。
(注9は動詞・注29は助動詞)
・注25「にけれ」と注28「にけり」の品詞分解ができるようにしておきましょう。
(注25-完了の助動詞「ぬ」の連用形+過去の助動詞「けり」の已然形)
(注28-ナ変動詞の一部+過去の助動詞「けり」の終止形)
いやー、勉強になりました。
恐ろしい話ですね。
そうですよ。
伝説や言い伝えを
あまく見てはいけません。
お年寄りの言葉もそうです。
そうですね。
以後肝に銘じます。
では、そろそろ行かなくては。
あなたにはお話を聞いた
代金をいただかないと。
えっ?お金取るの?
これじゃあ、お孫さんと
同じじゃないですか!!
これこれ、さっき
お年寄りの言葉を
よく聞くと言ったじゃ
ないですか?
たしかに言いましたけど…。
私は、孫と違って、
そんな法外なお金は
取りませんよ。
御心付けみたいなものです。
分かりました…。
いくらですか?
孫のに掛け合わせて
330両です。
高っ!!
孫の300両、
割り引かれていねー。