・ひらがなで書き下す所が分かります。
・重要表現が分かります。
・現代語訳が分かります。
・定期試験でよく聞かれる所が分かります。
では、「雑説」の前回の続きの文章を見ていきましょう。
前回の解説はこちら。
「雑説」本文
「雑説」書き下し文
※カギカッコの中のひらがなは現代仮名遣いの読み仮名です。色が付いている箇所は漢字をひらがなで書き下す箇所です。
⑩且(か)つ常馬(じょうば)と等(ひと)しからんと欲(ほっ)するも、得(う)べからず。
⑪安(いず)くんぞ其(そ)の能(のう)の千里なるを求めんや。
⑫之(これ)を策(むち)うつに其の道を以(もっ)てせず。
⑬之を食(やしな)ふに其の材を尽(つ)くさしむる能(あた)はず。
⑭之に鳴けども其の意に通(つう)ずる能はず。
⑮策を執(と)りて之に臨(のぞ)みて曰(い)はく、「天下に馬無し。」と。
⑯嗚呼、其れ真に馬無きか、
⑰其れ真に馬を知らざるか。
語釈
語句 | 品詞と意味 |
⑩の文章 | |
且ツ | 接続詞。読みは「か(つ)」。意味は「その上」。 |
欲スルモ | 動詞。読みは「ほっ(するも)」。意味は「望んでも」。 |
与 | 助詞。読みは「と」。意味は「~と」。 |
常馬 | 名詞。意味は「普通の馬・通常の馬」。 |
等シカラント | 動詞。読みは「ひと(しからんと)」。意味は「同じようにありたいと・平等でありたいと」。 |
不可カラ得 | 重要表現。読みは「うべ(から)ず」。意味は「~できない」。「不」は打消の助動詞、「可」は可能の助動詞。 |
⑪の文章 | |
安クンゾ~也 | 重要表現。読みは「いず(くんぞ)~や」。意味は「どうして~か。いや~だ。」。「也」は助詞で、反語を表す。 |
其ノ | 指示語。読みは「そ(の)」。ここでは「馬」を指す。 |
能ノ | 名詞。意味は「能力」。 |
⑫の文章 | |
策ウツニ | 動詞。読みは「むち(うつに)」。意味は「鞭で打つのに」。 |
之ヲ | 指示語。ここでは「千里馬」を指す。 |
不以テセ | 助動詞+動詞。読みは「もっ(てせ)ず」。意味は「用いない・扱わない」。 |
其ノ | 指示語。読みは「そ(の)」。ここでは「千里馬」を指す。 |
道 | 名詞。意味は「方法」。 |
⑬の文章 | |
食フニ | 動詞。読みは「やしな(ふに)」。意味は「育てる・飼育する」。 |
之ヲ | 指示語。ここでは「千里馬」を指す。 |
不能ハ | 重要表現。読みは「あた(は)ず」。意味は「できない」。「不」は打消の助動詞。 |
尽クサシムル | 動詞。読みは「つ(くさしむる)」。意味は「発揮させる」。 |
其ノ | 指示語。読みは「そ(の)」。ここでは「千里馬」を指す。 |
材 | 名詞。意味は「才能」。 |
⑭の文章 | |
之ニ | 指示語。ここでは「食馬者」を指す。 |
而 | 置き字。読まない書き下さない。 |
通ズル | 動詞。読みは「つう(ずる)」。意味は「理解する」。 |
其ノ | 指示語。読みは「そ(の)」。ここでは「千里馬」を指す。 |
意 | 名詞。意味は「気持ち・意図」。 |
⑮の文章 | |
執リテ | 動詞。読みは「と(りて)」。意味は「手にして」。 |
而 | 置き字。読まない書き下さない。 |
臨ミテ | 動詞。読みは「のぞ(みて)」。意味は「向かって」。 |
之ニ | 指示語。ここでは「千里馬」を指す。 |
曰ハク | 動詞。読みは「い(はく)」。意味は「言った」。 |
⑯の文章 | |
嗚呼 | 感動詞。読みは「ああ」。 |
其レ~邪 | 重要表現。読みは「そ(れ)~か」。意味は「いったい~か」。「邪」は助詞で疑問を表す。 |
真ニ | 副詞。読みは「しん(も)」。意味は「本当に」。 |
⑰の文章 | |
其レ~也 | 重要表現。読みは「そ(れ)~か」。意味は「それとも~か」。「也」は助詞で疑問を表す。「其レ~邪、其レ~也。」で選択疑問の形を表す。 |
不ル知ラ | 助動詞+動詞。読みは「し(ら)ざ(る)」。意味は「見抜けない」。 |
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「雑説」和訳・現代語訳
⑩その上、普通の馬と同じようにいたいと望んでも、(それすら)できない。
⑪どうして馬の能力で千里も走るものを探し求められようか、いや探し求められない。
⑫(馬の飼い主は)千里の馬を鞭を打つのに、千里の馬にふさわしい方法を用いない。
⑬千里の馬を育てる際も、その才能を十分発揮させることもできない。
⑭(千里の馬が、)飼い主に鳴いて訴えるが、(飼い主は)その気持ちを理解することもできない。
⑮むちを手にして、千里の馬に向かってこう言う、「この世には、いい馬がいない。」と。
⑯ああ、いったい本当に名馬がいないのか、
⑰それとも本当に名馬を見抜くことができないのか。
漢文「雑説」の重要事項
・⑫の文章にある「策」と⑬の文章にある「食」は読めるようにしておきましょう。
・⑪の文章にある「安求其能千里也」は現代語訳ができるようにしておきましょう。
・⑯・⑰の文章は現代語訳ができるようにしておきましょう。
・⑫・⑬・⑭・⑮にある指示語の「之」は、一つだけ違うものを指しますので、分かるようにしておきましょう。
⑭の「之」→「食馬者」、⑫・⑬・⑮の「之」→「千里馬」
諦めずに頑張って下さい。
安西先生も
言っていましたし。
ないですか~。
よくご存じで。
三井さんみたいに。