天気がいい日は、
散歩に限りますなー。
疑われたではないかー。
成敗してやるー。
待って下さい!
だけですよ。
似ているから
言われたこと一度もないです!
前歯が出ていたんですよね?
見て下さい。全然違うでしょ。
とりあえず、
成敗する。
辻斬りじゃないですかー。
どんなことするの?
教えて差し上げましょう。
本文
重要な品詞と語句の解説
語句【注】 | 品詞と意味 |
1 倶利伽羅 | 地名。木曽義仲が平家軍を破った峠のこと。 |
2 亡びし | バ行四段動詞「亡ぶ」の連用形+過去の助動詞「き」の連体形。 |
3 にて |
格助詞。意味は「~で」。 「にて」の見分け方については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 |
4 如意の渡り | 名詞。富山県の小矢部川河口にあった船の渡し場。 |
5 乗らん |
ラ行四段動詞「乗る」の未然形+意志の助動詞「ん」の終止形。 「む(ん)」の見分け方については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 |
6 し給ふ | サ変動詞「す」の連用形+ハ行四段活用の補助動詞「給ふ」の連体形。意味は「しなさる」。「給ふ」は尊敬語。義経一行に対する敬意。 |
7 渡しの守の権頭 | 名詞。渡し場の長官のこと。 |
8 申しける | サ行四段動詞「申す」の連用形+過去の助動詞「けり」の連体形。意味は「申した・申し上げた」。「申し」は「言ふ」の謙譲語。義経一行に対する敬意。 |
9 しばらく | 副詞。意味は「少しの間」。 |
10 客僧 | 名詞。山伏姿に変装している義経一行のこと。 |
11 候へ | ハ行四段の補助動詞「候ふ」の命令形。意味は「くだされ」。丁寧語。義経一行に対する敬意。 |
12 の |
格助詞の主格。意味は「~が」。 「の」の見分け方については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 |
13 なり | 断定の助動詞「なり」の終止形。 |
14 伺ひ | ハ行四段動詞「伺ふ」の連用形。意味は「お尋ねする」。「聞く」の謙譲語。役所に対する敬意。 |
15 申さで | サ行四段活用の補助動詞「申す」の未然形+接続助詞「で」。意味は「申し上げないで」。「申さ」は謙譲語。役所に対する敬意。 |
16 通すべからず | サ行四段動詞「通す」の終止形+命令の助動詞「べし」の未然形+打消の助動詞「ず」の終止形。意味は「通してはならない」。 |
17 にて | 断定の助動詞「なり」の連用形+接続助詞「て」。 |
18 候ふぞ | ハ行四段動詞「候ふ」の連体形+終助詞「ぞ」。意味は「ございますぞ」。「候ふ」は「あり」の丁寧語。義経一行に対する敬意。 |
19 ことに | 副詞。意味は「特に」。 |
20 候へ | ハ行四段活用の補助動詞「候へ」の已然形。意味は「ございます」。丁寧語。義経一行に対する敬意。 |
21 尋ね申さで | ナ行下二段動詞「尋ぬ」の連用形+サ行四段活用の補助動詞「申す」の未然形+接続助詞「で」。意味は「尋ね申し上げないで」。「申さ」は謙譲語。役所に対する敬意。 |
22 渡し申すまじく候ふ | サ行四段動詞「渡す」の連用形+サ行四段活用の補助動詞「申す」の終止形+不可能推量の助動詞「まじ」の連用形+ハ行四段の補助動詞「候ふ」の終止形。意味は「渡し差し上げることはできません」。「申す」は謙譲語。「候ふ」は丁寧語。「申す」と「候ふ」は義経一行に対する敬意。 |
23 由 | 名詞。意味は「趣旨・次第」。 |
24 荒らかに | ナリ活用の形容動詞「荒らかなり」の連用形。意味は「荒々しい」。 |
25 申しけれ | サ行四段動詞「申す」の連用形+過去の助動詞「けり」の已然形。意味は「申し上げた」。「申し」は「言ふ」の謙譲語。義経一行に対する敬意。 |
26 さりとも | 副詞。意味は「そうであっても」。 |
27 にて | 格助詞。意味は「~で」。 |
28 羽黒 | 名詞。羽黒山のこと。 |
29 讃岐阿闍梨 | 弁慶が偽名で名乗っている法師の名。 |
30 見知らぬ | ラ行四段動詞「見知る」の未然形+打消の助動詞「ず」の連体形。 |
31 やあるべき |
係助詞「や」+ラ変動詞「あり」の連体形+推量の助動詞「べし」の連体形。意味は「いるだろうか。(いやいない)」。「べき」は係助詞「や」に呼応している。 「べし」の見分け方については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 |
32 言ひけれ | ハ行四段動詞「言ふ」の連用形+過去の助動詞「けり」の已然形。 |
33 中乗りしたる | 名詞「中乗り」+サ変動詞「す」の連用形+存続の助動詞「たり」の連体形。意味は「舟の中央に乗っている」。 |
34 つくづくと | 副詞。意味は「じっと」。 |
35 まぼり | ラ行四段動詞「まぼる」の連用形。意味は「じっと見つめる」。 |
36 げに | 副詞。意味は「なるほど・本当に」。 |
37 見参らせたる | マ行上一段動詞「見る」の連用形+サ行下二段活用の補助動詞「参らす」の連用形+完了の助動詞「たり」の連体形。意味は「拝見した」。「参らせ」は謙譲語。弁慶に対する敬意。 |
38 やうに候ふ | 様子の助動詞「やうなり」の連用形+ハ行四段活用の補助動詞「候ふ」の終止形。意味は「ようでございます」。「候ふ」は丁寧語。弁慶に対する敬意。 |
39 三十講 | 名詞。法華経二十八品(ほん)に無量義経と観普賢経を加えた三十巻を、講義する法会のこと。 |
40 御幣 | 名詞。お祓いの時に用いる細長く切った紙を細長い木に挟んだもの。 |
41 申し下し給ひし | サ行四段動詞「申し下す」の連用形+ハ行四段活用の補助動詞「給ふ」の連用形+過去の助動詞「き」の連体形。意味は「お願いして受けてくださった」。「申し下し」は謙譲語で、(お願いした)神仏に対する敬意。「給ひ」は尊敬語で、弁慶に対する敬意。 |
42 御坊 | 名詞。僧の敬称。 |
43 にて | 断定の助動詞「なり」の連用形+接続助詞「て」。 |
44 ましますや | サ行四段動詞「まします」の終止形+係助詞「や」。意味は「いらっしゃいますか」。「まします」は「居る」の尊敬語。弁慶(御坊)に対する敬意。 |
45 申しけれ | サ行四段動詞「申す」の連用形+過去の助動詞「けり」の已然形。意味は「申し上げた」。「申し」は「言ふ」の謙譲語。弁慶に対する敬意。 |
46 かしこく | ク活用の形容詞「かしこし」の連用形。意味は「非常に」。 |
47 見覚えられたり | ヤ行下二段動詞「見覚ゆ」の未然形+尊敬の助動詞「らる」の連用形+完了の助動詞「たり」の終止形。意味は「覚えていらっしゃった」。「られ」は、中乗りしたる男に対する敬意。 |
48 恐ろし | シク活用の形容詞「恐ろし」の終止形。意味は「たいしたものだ」。 |
49 ほめける | マ行下二段動詞「ほむ」の連用形+過去の助動詞「けり」の連体形。意味は「褒めた」。 |
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現代語訳
いかがでしたでしょうか。
この箇所で特に重要な文法事項は次の通りです。
・敬語表現の種類と誰に対する敬意かを覚えておきましょう。
・会話文の中に登場する敬語表現は、その言葉を発言している人からの敬意ですので、敬意の方向(誰から誰に)が分かるようにしておきましょう。
・「にて」が4つ出てきますので、見分けができるようにしておきましょう。
(「注3」・「注17」・「注27」・「注43」)
・係り結びの法則の反語の箇所は訳せるようにしておきましょう。(注31)
続きは以下のリンクからどうぞ。
『義経記』「如意の渡りにて義経を弁慶打ち奉る事」の現代語訳と重要な品詞の解説2
【桜川慈悲成作歌川豊国(初代)画『如何辨慶御前二人』(寛政七年刊)を参考に挿入画を作成】