・高1の1学期の中間で学習する動詞の種類と活用形が分かります。
・係り結びの法則が分かります。
・現代語訳が分かります。
・定期試験でよく聞かれる所が分かります。
では、「絵仏師良秀」の前回の続きの文章を見ていきましょう。
前回の解説はこちら。
『宇治拾遺物語』「絵仏師良秀」の現代語訳と重要な品詞の解説1
本文
「あはれ【注1】、しつる【注2】せうとく【注3】かな【注4】。年ごろ【注5】は、わろく【注6】書きける【注7】ものかな。」と言ふときに、とぶらひ【注8】に来たる【注9】者ども、「こはいかに【注10】、かくて【注11】は立ちたまへるぞ【注12】。あさましき【注13】ことかな。物【注14】の【注15】つきたまへるか【注16】。」と言ひけれ【注17】ば、「なんでふ【注18】、物の【注19】つくべきぞ【注20】。年ごろ、不動尊の火炎を悪しく【注21】書きけるなり【注22】。今見れ【注23】ば、かう【注24】こそ燃えけれ【注25】と、心得つるなり【注26】。これこそ、せうとくよ。この道を立てて世にあらん【注27】には、仏だに【注28】よく【注29】書きたてまつら【注30】ば、百千の家も出で来なん【注31】。わ党たち【注32】こそ、させる【注33】能もおはせね【注34】ば、物をも惜しみたまへ【注35】。」と言ひて、あざ笑ひてこそ立てりけれ【注36】。
その後にや【注37】、良秀がよぢり不動とて、今に、人々、めで合へり【注38】。
重要な品詞と語句の解説
語句【注】 | 品詞と意味 |
1 あはれ | 感動詞。意味は「ああ」。 |
2 しつる | サ変動詞「す」の連用形+完了の助動詞「つ」の連体形。意味は「した」。 |
3 せうとく | 名詞。意味は「得をすること」。 |
4 かな | 終助詞。意味は「なあ」。 |
5 年ごろ | 名詞。意味は「長年」。 |
6 わろく | ク活用の形容詞「わろし」の連用形。意味は「よくない・下手だ」。 |
7 書きける | カ行四段動詞「書く」の連用形+過去の助動詞「けり」の連体形。意味は「描いた」。 |
8 とぶらひ | 名詞。意味は「見舞い」。 |
9 来たる | カ変動詞「来(く)」の連用形+完了の助動詞「たり」の連体形。意味は「来た」。 |
10 いかに | 副詞。意味は「なぜ・なにゆえ」。 |
11 かくて | 副詞。意味は「こうして」。 |
12 立ちたまへるぞ | タ行四段動詞「立つ」の連用形+ハ行四段活用の補助動詞「たまふ」の已然形+存続の助動詞「り」の連体形+係助詞「ぞ」。意味は「立ちなさっているんだ」。「たまへ」は尊敬語で、「良秀」に対する敬意。 |
13 あさましき | シク活用の形容詞「あさまし」の連体形。意味は「呆れる」。 |
14 物 | 名詞。意味は「物の怪」。 |
15 の | 格助詞の主格。意味は「~が」。 |
16 つきたまへるか | カ行四段動詞「つく」の連用形+ハ行四段活用の補助動詞「たまふ」の已然形+存続の助動詞「り」の連体形+係助詞「か」。意味は「憑きなさっているのか」。「たまへ」は尊敬語で、「物」に対する敬意。 |
17 言ひけれ | ハ行四段動詞「言ふ」の連用形+過去の助動詞「けり」の已然形。意味は「言った」。 |
18 なんでふ | 副詞。意味は「どうして」。 |
19 の | 格助詞の主格。意味は「~が」。 |
20つくべきぞ | カ行四段動詞「つく」の終止形+当然の助動詞「べし」の連体形+係助詞「ぞ」。意味は「憑くはずなのだ」。 |
21 悪しく | シク活用の形容詞「悪(あ)し」の連用形。意味は「悪い」。 |
22 書きけるなり | カ行四段動詞「書く」の連用形+過去の助動詞「けり」の連体形+断定の助動詞「なり」の終止形。意味は「描いていたのだ」。 |
23 見れ | マ行上一段動詞「見る」の已然形。 |
24 かう | 副詞。意味は「このように」。 |
25 燃えけれ | ヤ行下二段動詞「燃ゆ」の連用形+過去の助動詞「けり」の已然形。意味は「燃えた」。「けれ」は、係助詞「こそ」に呼応している。
係り結びの法則については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 |
26 心得つるなり | ア行下二段動詞「心得(こころう)」の連用形+完了の助動詞「つ」の連体形+断定の助動詞「なり」の終止形。意味は「納得したのである」。 |
27 あらん | ラ変動詞「あり」の未然形+仮定の助動詞「ん」の連体形。意味は「いるとすれば」。 |
28 だに | 副助詞。意味は「~さえ」。 |
29 よく | ク活用の形容詞「よし」の連用形。 |
30 書きたてまつら | カ行四段動詞「書く」の連用形+ラ行四段動詞「たてまつる」の未然形。意味は「描き差し上げる」。「たてまつら」は謙譲語で、「仏」に対する敬意。 |
31 出で来なん | カ変動詞「出で来(く)」の連用形+強意(確述)の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「ん」の終止形。意味は「きっと出てくるだろう」。 |
32 わ党たち | 連語。意味は「お前たち」。 |
33 させる | 連体詞。意味は「たいした」。 |
34 おはせね | サ変動詞「おはす」の未然形+打消の助動詞「ず」の已然形。意味は「おありにない」。「おはせ」は尊敬語で、「わ党たち」に対する敬意。 |
35 惜しみたまへ | マ行四段動詞「惜しむ」の連用形+ハ行四段活用の補助動詞「たまふ」の已然形。意味は「惜しみなさる」。「たまへ」は尊敬語で、「わ党たち」に対する敬意。「たまへ」は、係助詞「こそ」に呼応している。 |
36 立てりけれ | タ行四段動詞「立つ」の已然形+存続の助動詞「り」の連用形+過去の助動詞「けり」の已然形。意味は「立ち続けていた」。「けれ」は、係助詞「こそ」に呼応している。 |
37 にや | 断定の助動詞「なり」の連用形+係助詞「や」。意味は「~であろうか」。「にや」の後に、「あらん」が省略されている。
係り結びの省略については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 |
38 めで合へり | ハ行四段動詞「めで合ふ」の已然形+存続の助動詞「り」の終止形。意味は「賞賛し合っている」。 |
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現代語訳
「ああ、大変得したなあ。長年下手に描いていたものだなあ。」と言う時に、見舞いに来た人たちは「これは、なにゆえこうして(何もしないで)立っちなさっているんだ。呆れたことだ。物の怪が憑きなさっているのか。」と言ったので、(良秀は)「どうして物の怪が憑くはずなのだ。長年、不動尊の火炎を悪く描いていたのだ。今見ると、このように燃えていたのだと、納得したのである。これこそが、得したことだよ。(絵仏師という仕事で)生計を立ててこの世にいるとすれば、仏の絵さえ上手に描き差し上げれば、(その報酬として、)百千の家もきっと出てくるだろう。お前たちこそ、たいした才能もおありにないので、(家などの)物を惜しみなさるのだ。」と言って、あざ笑って立ち続けていた。
その後のことであろうか、良秀のよじり不動と言って、今でも、人々が、(その絵を)賞賛し合っている。
いかがでしたでしょうか。
この箇所で特に重要な文法事項は次の通りです。
・上にある「重要な品詞と語句の解説」で赤く色が付いてある動詞の種類と活用形が分かるようにしておきましょう。
・注25・35・36の係り結びの法則が分かるようにしておきましょう。
ありがとうございました。
やはり、面白いですね。
絵仏師良秀は。
そうですね。
フリーランスの鑑
みたいな存在ですもんね。
行って、光背を変えて
あっ、ちょっと。
お地蔵さま。横にある
バックはあなたのでは
ないですか?
あっ、忘れてましたー。
危ない、危ない。
配達の途中でした。
配達の途中って、
まさか…。
乳母(うば)イーツです。
乳母イーツ!!
お地蔵さままで!!
流行ってんなー。
乳母イーツ