古文の紛らわしい動詞(念ず・居る・絶ゆ・寝ぬ・見ゆ・植う)の活用と種類

お断り:この記事には、最初に倉橋先生とゆかいな仲間たちの戯れがあります。お急ぎの方は、上にある目次の見たい項目をクリックすると、その解説に飛びますので、そちらをご利用ください。なお、解説は真面目にしております。

・・・。

おや?
韓退之先生、どうされました?

私は韓退之さんではありません。

黄庭堅です。

黄山谷先生でしたか。
失礼致しました。
顔が似ていたもので…。
では、こちらにいらっしゃるのが、韓退之先生かな?

違います。

私は柳宗元です。

倉橋先生、間違えないで下さいよー。

私が韓愈です。

失礼致しました………。
っていうか、まぎらわしー。
顔に特徴ねぇー。
作りがほぼ一緒。髭と頭のかぶり物だけちょっと違う。

ふふふ、そんなんじゃ、紛らわしい動詞の種類が見分けられませんよ。

今回は、活用表でしっかり覚えてもらいますよ。

覚悟はよろしいですな。

ううう、お願い致します。

紛らわしい動詞(念ず・居る・絶ゆ・寝ぬ・見ゆ・植う)の活用表

では、まず「念ず」・「居る」・「絶ゆ」・「寝ぬ」・「見ゆ」・「植う」の活用から確認しましょう。

以下が活用表です。

念ず・居る・絶ゆ・寝ぬ・見ゆ・植うの種類

次に、種類を確認しましょう。

・「念ず」は、サ行変格活用動詞です。しかし、活用表を見てみるとザ行で活用しています。本来なら、ザ行変格活用動詞となるのですが、なぜかサ行変格活用動詞の仲間として分類されます。深く考えずそう覚えましょう。

・「居る(ゐる)」は、ワ行上一段活用動詞です。「ゐ」は「わゐうゑを」の「ゐ」です。「居る」は入試で種類を聞く問題が出されますので、覚えておきましょう。

・「絶ゆ」は、ヤ行下二段活用動詞です。

・「寝ぬ(いぬ)」は、ナ行下二段活用動詞です。「寝」は、「ね」ではなく「い」と読みますので、覚えておきましょう。

・「見ゆ」は、ヤ行下二段活用動詞です。

・「植う」は、ワ行下二段活用動詞です。「う」は、ア行ではなく、ワ行ですので、注意しておきましょう。

念ず・居る・絶ゆ・寝ぬ・見ゆ・植うの意味

最後に、6つの動詞の意味を確認しておきましょう。


「念ず」は、「我慢する」、「神仏に祈る」という意味です。「念ず」は、古文の重要単語で、板野先生の『ゴロで覚える古文単語ゴロ565』にも載っています。大学入試でもよく出題されますので、覚えましょう。
例文を見てみましょう。

○わが妻子どものなほ申す声どもも聞こゆ。いみじき心地しけり。されど念じて泣きあかして、朝(あした)に見れば、蓑もなにも涙のかかりたる所は、血の涙にてなむありける。(『大和物語』一六八段)

現代語訳
自分の妻と子どもの経文を読む声が依然として聞こえてくる。良少将は、つらい気持ちになった。けれども我慢して泣き明かして、朝になって見ると蓑のなにも涙がかかった所は、血の涙であった。


「居る」は、普通に「いる」と言う意味もありますが、「座る」という意味もあり、大学入試では「座る」の意味を問う問題が出題されます。板野先生の『ゴロで覚える古文単語ゴロ565』にも載っています。
例文を見てみましょう。

○三寸ばかりなる人、いとうつくしうてたり。(『竹取物語』「かぐや姫の生ひ立ち」)

現代語訳
9センチぐらいの人が、とてもかわいらしく座っている。


「絶ゆ」は、普通に「絶える」という意味もありますが、「死ぬ」という意味もあり、大学入試では「死ぬ」の意味を問う問題が出題されます
例文を見てみましょう。

○夜なかうち過ぐるほどになむ、絶えはて給ひぬる。(『源氏物語』「桐壺」)

現代語訳
真夜中を過ぎる頃に、桐壺の更衣は亡くなりなさった。


「寝ぬ」は、「寝る」という意味です。
例文を見てみましょう。

○予は口をとぢて眠らんとしていねられず。(『奥の細道』「松島」)

現代語訳
私は句作を断念して眠ろうしたが、られなかった。


「見ゆ」は、「見える」、「会う」という意味です。
例文を見てみましょう。

○家にいたりて、門に入るに、月明かければ、いとよくありさま見ゆ。(『土佐日記』「帰京」)

現代語訳
我が家に着いて、門に入ると、月が明るいので、家のありさまがとてもよく見える


「植う」は、「植える」という意味です。
例文を見てみましょう。

○前栽に、心とめて植ゑたり。(『源氏物語』「帚木」)

現代語訳
中川の宿は、庭の植え込みに、念入りに植物を植えている。

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まとめ

以上、6つの動詞の活用と種類と意味を確認しました。

では、実際の入試問題ではどういう所が問われるかということを最後に確認しておきましょう。

「念ず」は意味種類がよく問われる。

「居る」は意味種類がよく問われる。

「絶ゆ」は意味種類がよく問われる。

「寝ぬ」は読み種類がよく問われる。

「見ゆ」は種類がよく問われる。

「植う」は種類がよく問われる。

それぞれ問われる所が異なりますので、きちんと覚えておくことが大切です。

【平住専庵作橘守国画『唐土訓蒙圖彙』(享保四年刊)を参考に挿入画を作成】

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