『竹取物語』「なよ竹のかぐや姫」の現代語訳と重要な品詞の解説1

お断り:この記事には、最初に倉橋先生とゆかいな仲間たちの戯れがあります。お急ぎの方は、上にある目次の見たい項目をクリックすると、その解説に飛びますので、そちらをご利用ください。なお、解説は真面目にしております。
この記事で解決できること
・形容詞と形容動詞の種類と活用形が分かります。
・係り結びの法則が分かります。
・音便が分かります。
・定期試験でよく聞かれる所が分かります。
  
最近、H×Hの
単行本でないなあー。
  
  
  
  
倉橋さん!!
大変です!!
  
  
  
  
おやおや。
裏のお爺ちゃん。
どうされたんですか?
  
  
  
  
うちの娘が…
大変なんです。
  
  
  
  
えっ?お爺ちゃん。
娘さんいないでしょ?
  
  
  
  
実は3か月前に野山で
拾ってきたんです。
その娘が…。とにかく
一緒に来て下さい。
  
  
  
拾ってきた??
分かりました…。
一緒に行きましょう。
  
    
  
  
もうこれで
終わってもいい…
  
  
  
キタ――(゚∀゚)――!!
どっかで聞いたこと
あるセリフ!!!
  
  
  
  
うちの娘、
敵を倒すために
強制的に成長
しちゃったんです。
  
  
  
(笑)(笑)(笑)。
手にやかん持ってるー。
敵って誰ですかね?
  
  
    
  
お・ま・え・だー!!
  
  
  
  
  
ええええ!!
私、関係ないでしょー。
  
  
  
  
倉橋さん。
倒されたくなかったら
『竹取物語』の講義、
してください。早く!
  
  
  
  
分かりました。
よく分からないけど
講義致しましょう。
  
  
  
  

「なよ竹のかぐや姫」本文

 今は昔、竹取の翁といふ者ありけり【注1】。野山にまじり【注2】て竹を取りつつ、よろづのこと【注3】使ひけり【注4】。名をば、さぬきの造となむいひける【注5】。その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける【注6】怪しがり【注7】て、寄りて見る【注8】に、筒の中光りたり【注9】。それを見れば、三寸【注10】ばかりなる【注11】人、いとうつくしう【注12】ゐたり【注13】。翁言ふやう、「われ朝ごと夕ごとに見る竹の中におはする【注14】にて知りぬ【注15】。子になりたまふべき【注16】なめり【注17】。」とて、手にうち入れて、家へ持ちて来ぬ【注18】。妻の嫗に預けてやしなはす【注19】うつくしき【注20】こと、限りなし【注21】。いと幼けれ【注22】ば、籠に入れてやしなふ。

「なよ竹のかぐや姫」重要な品詞と語句の解説

語句【注】 品詞と意味
1 ありけり ラ変動詞「あり」の連用形+過去の助動詞「けり」の終止形。意味は「いた」。
2 まじり ラ行四段動詞「まじる」の連用形。意味は「分け入る」。
3 よろずのこと 連語。意味は「様々なこと」。
4 使ひけり ハ行四段動詞「使ふ」の連用形+過去の助動詞「けり」の終止形。意味は「使った」。
5 いひける ハ行四段動詞「いふ」の連用形+過去の助動詞「けり」の連体形。意味は「言った」。「ける」は係助詞「なむ」に呼応している。

係り結びの法則については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。

係り結びの法則の解説

6 ありける ラ変動詞「あり」の連用形+過去の助動詞「けり」の連体形。意味は「あった」。「けるは係助詞「なむ」に呼応している。
7 怪しがり ラ行四段動詞「怪しがる」の連用形。意味は「不思議に思う」。
8 見る マ行上一段動詞「見る」の連体形。
9 光りたり ラ行四段動詞「光る」の連用形+存続の助動詞「たり」の終止形。意味は「光っている」。
10 三寸 名詞。約9センチ。「寸」は長さの単位で、一寸が約3センチ。
11 なる 断定の助動詞「なり」の連体形。
12 うつくしう シク活用の形容詞「うつくし」の連用形。意味は「かわいい」。「うつくし」は「うつくし」がウ音便化している。
13 ゐたり ワ行上一段動詞「ゐる」の連用形+存続の助動詞「たり」の終止形。意味は「座っている」。
14 おはする サ変動詞「おはす」の連体形。意味は「いらっしゃる」。「あり・居る」の尊敬語。
15 知りぬ ラ行四段動詞「知る」の連用形+完了の助動詞「ぬ」の終止形。意味は「知った」。
16 なりたまふべき ラ行四段動詞「なる」の連用形+ハ行四段活用の補助動詞「たまふ」の終止形+当然の助動詞「べし」の連体形。意味は「おなりになるはず」。「たまふ」は尊敬語でかぐや姫に対する敬意。

「べし」の見分け方については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。

助動詞「べし」の識別の解説

17 なめり 断定の助動詞「なり」の連体形+推定の助動詞「めり」の終止形。意味は「であるようだ」。元々は「なめり」であったが、「なめり」と撥音便化し、「ん」を表記しない「なめり」となった。
18 来ぬ カ変動詞「来(く)」の連用形+完了の助動詞「ぬ」の終止形。意味は「帰った」。
19 やしなはす ハ行四段動詞「やしなふ」の未然形+使役の助動詞「す」の終止形。意味は「育てさせる」。
20 うつくしき シク活用の形容詞「うつくし」の連体形。
21 限りなし ク活用の形容詞「限りなし」の終止形。意味は「この上ない」。
22 幼けれ ク活用形容詞「幼し」の已然形。

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「なよ竹のかぐや姫」現代語訳

今となっては昔のことだが、竹取の翁という者がいた。野や山に分け入って、竹を取っては、様々なことに使っていた。名をさぬきの造と言った。(翁が行く)竹林の中に、根もとの光る竹が一本あった。不思議に思って近寄って見ると、筒の中が光っている。それを見ると、(背たけが)三寸ぐらいの人が、とてもかわいらしく座っている。翁が言うことには、「私が毎朝毎晩見る竹の中にいらっしゃるのでわかった。(この子は私の)子におなりになるはずの人であるようだ。」と言って、手の中に入れて、家へ持って帰った。妻であるおばあさんに預けて育てさせる。(この子の)かわいらしいことはこの上ない。たいそう幼いので、かごに入れて育てる。

  

  

いかがでしたでしょうか。

この箇所で特に重要な文法事項は次の通りです。

  
  

・上にある「重要な品詞と語句の解説」助動詞の意味と活用形が分かるようにしておきましょう。

・注16・17の文章「子になりたまふべき人なめり」は、現代語訳が分かるようにしておきましょう。

・注12・17の音便は元の形が分かるようにしておきましょう。

  

続きは以下のリンクからどうぞ。

『竹取物語』「なよ竹のかぐや姫」の現代語訳と重要な品詞の解説2

  

【市場通笑作歌川豊国画『御馴染花咲祖父』(寛政六年刊)・曲亭馬琴作北尾重政画『胴人形肢体機関』(寛政十二年刊)を参考に挿入画を作成】

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