では、「このついで」の前回の続きの文章を見ていきましょう。
前回の解説はこちら。
『堤中納言物語』「このついで」の現代語訳と重要な品詞の解説5
本文
重要な品詞と語句の解説
語句【注】 | 品詞と意味 |
1 ならむ |
断定の助動詞「なり」の未然形+推量の助動詞「む」の連体形。 「む(ん)」の見分け方については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 |
2 聞きわくべき | カ行四段動詞「聞きわく」の終止形+可能の助動詞「べし」の連体形。意味は「聞き分けることができる」。 |
3 にも | 断定の助動詞「なり」の連用形+係助詞「も」。 |
4 あらね | ラ変動詞「あり」の未然形+打消の助動詞「ず」の已然形。 |
5 ならむ | ラ行四段動詞「なる」の未然形+意志の助動詞「む」の終止形。意味は「なろう」。 |
6 けしき | 名詞。意味は「様子」。 |
7 にや |
断定の助動詞「なり」の連用形+係助詞「や」。「にや」の後に「あらん」が省略されている。 係り結びの省略については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 |
8 見ゆる | ヤ行下二段動詞「見ゆ」の連体形。 |
9 やすらふ | ハ行四段動詞「やすらふ」の連体形。意味は「ためらう」。 |
10 なれ | 断定の助動詞「なり」の已然形。 |
11 なほなほ | 副詞。意味は「ますます」。 |
12 せちに | ナリ活用の形容動詞「せちなり」の連用形。意味は「しきりに」。 |
13 言ふめれ | ハ行四段動詞「言ふ」の終止形+推定の助動詞「めり」の已然形。意味は「言うようだ」。 |
14 余りたる | ラ行四段動詞「余る」の連用形+存続の助動詞「たり」の連体形。意味は「余っている」。 |
15 にや | 断定の助動詞「なり」の連用形+係助詞「や」。「にや」の後に「あらん」が省略されている。 |
16 の |
格助詞の同格。意味は「~で」。 「の」の見分け方については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 |
17 いみじう | シク活用の形容詞「いみじ」の連用形。意味は「たいそう」。「いみじう」は「いみじく」がウ音便化している。 |
18 うつくしき | シク活用の形容詞「うつくし」の連体形。 |
19 わげ入れ | ラ行下二段動詞「わげ入る」の連用形。意味は「曲げ入れる」。 |
20 若やかなる | ナリ活用の形容動詞「若やかなる」の連体形。 |
21 にや | 断定の助動詞「なり」の連用形+係助詞「や」。「にや」の後に「あらん」が省略されている。 |
22 の | 格助詞の同格。意味は「~で」。 |
23 こまやかなる | ナリ活用の形容動詞「こまやかなり」の連体形。 |
24 一襲 | 名詞。重ねた衣服のこと。 |
25 搔練 | 名詞。紅色の襲のこと。 |
26 おとと | 名詞。男女にかかわらず年下の者のこと。 |
27 なるべし |
断定の助動詞「なり」の連体形+推量の助動詞「べし」の終止形。意味は「~であるにちがいない」。 「べし」の見分け方については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 |
28 おしはかられ侍りし | ラ行四段動詞「おしはかる」の未然形+自発の助動詞「る」の連用形+ラ変活用の補助動詞「侍り」の連用形+過去の助動詞「き」の連体形。意味は「推察されました」。「侍り」は丁寧語で、話を聞いている人に対する敬意。「し」は係助詞「ぞ」に呼応している。 |
スポンサーリンク
現代語訳
いかがでしたでしょうか。
この箇所で重要な文法事項は以下の通りです。
・係り結びの法則の省略されている語が分かるようにしておきましょう(注7・15・21)。
・「注1」と「注5」の「なら」と「む」の違い分かるようにしておきましょう。
→「注1」の「なら」は断定の助動詞で、「注5」の「なら」はラ行四段動詞。
→「注1」の「む」は推量の助動詞で、「注5」の「む」は意志の助動詞。
・格助詞の同格が分かるようにしておきましょう(注16・22)。
続きは以下のリンクからどうぞ。